ふる里「樽本」のページです。 樽本は新潟県妙高市にあり、以前は豊葦村でした。このページは樽本のしきたりを紹介しています。
春はうららの樽本

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樽本のしきたり
樽本には、昔から多くの季節の行事がありました。
 ・雪深い冬は、隣り近所が寄り添って助け合い励まし合う。
 ・農繁期には、集落が足並み揃えて、毎月何日間か仕事を休み休養をとる。
 ・農閑期には、農作業で助け合った近隣縁者が互いに招きあって、慰労の会を行う。

雪に埋もれる冬の生活、その冬に備える春からの厳しい農作業、それらを癒すための、
先人達の素晴らしい知恵の行事であったように思います。

樽本地域の少人数化と高齢化で、今は営まれていない行事も含めて、昭和20年代頃までの四季おりおりのしきたりを、ご紹介します。

調べ不足の行事もありますので、継続して補ってまいります。
樽本に、ご縁ある方々、ご体験ある方々、情報のご提供をいただければ幸いです。
 インデックス
  冬(12月〜2月)春(3月〜5月)夏(6月〜8月)秋(9月〜11月)
冬
カカシあげ: 12月9日
カカシ(案山子)様にお礼をすると言って、家々でゴッツォ(ご馳走を)作っていました。
この日に山に行く(仕事する)と怪我をする、との言い伝えがあって、仕事を休むことになっていました。
仮に、山に行って怪我でもすると、それ見たか、と言われました。
報恩講: 12月25日
親鸞聖人の法事で、村のお寺にお参りに行き、寒い時期で火鉢にあたりながらお経を聞きました。
歳とり: 12月31日
年令の起算日が1月1日であった、数え歳時代のならわしです。
夕食の席、家族全員を揃えて家長から家族に「この一年の慰労」の言葉を述べた後、ゆっくりと食事。
食事が済んだ子供は、土間の据え石に立って、両手を挙げ背伸びしながら、大きくなーれっ!!と大声を出し、明日から「1歳大きくなる(歳をとる)」ことを喜ぶ。
子供は、その後、「鐘突き」一番乗りを競って村のお寺に駆けつける。
子供達の間では、この鐘突き一番乗りが名誉なことでした。
小正月: 1月1日
正月は、ひと月遅れの2月1日であった時代のならわしです。
1月7日まで、集落がいっせいに仕事を休む「アスビ日(遊び日/公休日)」になります。
おやど: 1月
毎年、雪のあるこの時期に、説教者(坊さん)がよそから樽本に泊り込みできて、宿の家に村の大人子供を問わず説教を聞きに集まりました。
村の、寺の説教に似ていましたが、娯楽や情報の乏しかった時代で、中にはためになる話しがありました。
坊さんは、布団をかけたコタツヤグラ上に座って説教をしていました。
宿の家では、当日、集まる人達をもてなす準備のために、親戚縁者の協力を得るなど、朝から大にぎわいでした。
子供達は、坊さんの説教の間、火鉢の炭火でマメを焼いて食べながら過しました。
集落の家々は毎年、順送りで坊さんの宿をしていましたが、負担が大きいために宿番を見送る家もありました。
本正月: 2月1日
正月は、ひと月遅れの2月1日であった時代のならわしです。
1月7日まで、集落がいっせいに仕事を休む「アスビ日(遊び日/公休日)」になります。
お寄り組: 冬の間
組と呼んでいた村の、10数軒のまとまりが、それぞれで行われていました。
集落には、3〜4つの組がありました。
「今日オマンタ(お宅さま)、オヨリだでね」と言って小さな黒い箱が廻ってきます。
その箱には、お経本とノノサマ(阿弥陀さま)の掛け軸が納められていました。
その日は当番の家に、組の全家人が集まり、当番の当主が、お経を読み終えた後は、みんなで、お茶飲みしながら世間話しをして過ごしました。
何も娯楽がない時代の、近所付き合いの知恵でもありました。
かいだん(回壇): 2月〜3月
坊さんが2〜3月ごろに廻って来て、村人を集め説教をしていました。
村の各戸が順送りで、坊さんの宿をする決まりがあって、「今年オマンタ(お宅さま)がカイダン番だでね」と「札(フダ)」が廻ってきます。
「おやど」と似た冬の行事の一つでした。
おとりこし:
ホンビキ: 農作業のない冬の間
くじ引きヒモ(紐)で、大人も子供も楽しむ、娯楽の少ない時代の遊びでした。
集まった人数分の太目のヒモを用意して、当たりヒモの先には天保銭(ダンベ)を結び、仕切り役(親分)は、ヒモの束を意地悪くきつく握ります。
引き手は感触をたしかめながら、全員が一本づつヒモを持ち、「ダンベ来い」と大声を出し掛け合いながら、引き合って遊びました。
時には、一人1〜2銭ほど出し合って、当たった人が、そのお金を貰うこともあり、多人数の時には、天保銭を二枚つけて分け合いもしました。
子供や家族のみでの遊びでは、ヒモ先に、輪切り大根を結びつけていました。
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春
餅焼き: 4月2〜3日
雪解け前、子供達の楽しみの一つでした。
近隣、数軒の子供がグループを作って、村近くの南向き山肌の雪を掘り、地面を出し、煮炊きする場所を作ります。
3月中ごろから始めて、タキギ(焚き木)も山から集めて、その日に備えます。
その日は餅、野菜、味噌などと、茶碗、箸、鍋(主にハンゴウを使用)を役割分担して持ち寄り、煮炊きして一日を食べながら過します。
水は川から汲み、川まで遠いグループは雪を溶かして使います。
時には、グループ間を相互に訪ね合うこともありました。
観音さま: 4月18日
「観音さま(こいで観音)」のページ< 4月18日「観音さま」>をご覧ください。
薬師まつり: 5月 8日
「薬師さま」のページ<薬師まつり>をご覧ください。
ごかいさん(御開山): 5月21日
村の寺にお参りする日で、その日の参拝者には、赤飯が配られることから、子供も一緒にお参りに行きました。
赤飯は、それぞれに持っていった新聞紙に包んで持ち帰っていました。
寺の世話人(村の有力者たち)の家々の女ショ(衆)が、エプロン掛けで手伝って、大きな、おヒツに山のように赤飯を炊いて用意していました。
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夏
田休み: 6月末〜7月上旬
田植えが全て手植えであった時代、きつい田植えを終えると、仕事を2日ほど休みアスビ日(公休日)にしました。
その、らくらく(一段落)した祝いに、「笹餅」をついて家族で休養をとりました。
裏山の、クマザサの新しい葉が伸びた時期でした。
キンぬぎ(脱ぎ): 7月1日
7月1日と決まっていて、2日間は仕事を休むアスビ日(公休日)でした。
現代の、衣替え、にあたります。
大山めいり(参り): 7月23日
村の青年会の男ショ(衆)だけで、必ずこの日に、妙高山に登っていました。
戦前は徴兵検査前の人、戦後は復員した人など、当時は人数が多く、集落単位で登っていました。
昔から、女ショ(衆)は登るもんじゃない、と言い伝えられていました。
墓刈り: 8月7日
お盆に備えての墓掃除をして、先祖にお参りしました。
樽本には、迎え盆、送り盆の習慣はなかったのですが、この日は、実質の迎え盆であったのかも知れません。
お盆: 8月15、16日
村の人が寺に集まって、よそから来る坊さんの説教を聞きました。
この二日間は仕事を休み、連日、夜遅くまで、寺の境内で盆踊りを楽しみました。
おしちや(七八) : 8月27〜28日
この二日間は、仕事を休むアスビ日(公休日)でした。
「盆も終えた七八も終えた。祭りじぶんには雨が降る。」と、言い伝えがありました。
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秋
えいたいきょう(永代経): 9月1〜2日
お寺にお参りしました。
祭り: 9月14日
「お宮さま」のページ < 昔あった「祭り番」>をご覧ください。
お彼岸: 9月20日頃
樽本には、お彼岸のならわし(行事名)はなく、この日は、家々でボタモチを作ってノノサマ(仏壇)に供える程度でした。
おし(ひ)きあげ: 10月2日頃
親鸞聖人の法要の日で、村の人達が寺に集まり、この日のために、よそから訪れる坊さんの長々と続く読経を聞きました。
お経は第1段から20何段までもあって、読経が終わると、各段の意味解説を延々と続けられるのが、子供達には忍耐がいりました。
居眠り防止用に炒り豆を用意して、読経の間も、大人も子供もポリポリと食べながら、聞いていました。
砂糖は貴重品であった時代で、クズ粉まじりで固まった炒り豆を、ほぐしながら食べていました。
秋餅(刈り上げボタモチ) : 10月20日過ぎの頃
稲刈りが終わると、ここまで来るとらくらく(楽々//一段落)して、それぞれの家で餅をついたり、ボタモチを作って家族でお祝いをしました。
こきあげ
稲刈りが終えた後、稲こき(脱穀)が終わると、新米を炊いて家族でお祝いをしました。
山餅
その年の米の収穫が終わり、農作業も一段落すると山餅(やまもち)作って祝いました。
「樽本の昔のくらし」のページ<家族だんらん>をご覧ください。
秋ごと(とうど呼。ごくろう呼): 11月中旬〜12月
初雪が降る頃、その年、農作業、林業などを手伝ってくれた、お世話になった人々を招いて、一人ひとりにお膳をつけて、一同に会してご馳走をふるまいました。
この時代は、親戚も隣人も相互に無賃で手伝いをしていました。
料理は、次のような野菜中心で、全て手作りでまかないました。


【一人前のお膳盛り付け】
 焼豆腐、コンニャク薄味仕上げ、さつま芋、里芋、人参、豆腐入りお汁、
 白いご飯。

【取りまわし用】
 のっぺ煮、イモの煮付、あいもの、人参、豆腐、コンニャク、黒マメ、
 青マメ、等。

【およばれのあと】
 食べ残した料理は、「つとっこ(ワラを束ねて作った食べ物入れ)」満杯に
 詰めて持ち帰ってもらいました。
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